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本殿彫刻:丸桁の龍の見え方

国安天満神社本殿(改修中)には、多数の彫刻が施されています。当社所蔵の三間社仕様帳目録には、元禄の築当初の彫刻の仕様や種類などが記載されています。三百年以上前の彫り物を厳選して順にお知らせしていきたいと思います。

(1) 本殿東側面 丸桁に施された龍の彫刻
下の写真は、軒の高さから撮影したもの

写真に写っていいる範囲だけでも、たくさんの彫刻が見られます。鳥の彫刻が蟇股に施されています。三手先の斗栱や木鼻彫刻などが目につきます。写真上部の丸桁には、龍の彫刻が施されています。
同じ個所を下から見上げる位置から撮影したのが下の写真

特に、丸桁に施された龍の彫刻は、下から見上げる視線を意識しているようですね。
大坂浄覚町宮大工船屋(鳥井)左兵衛ら職人の技術の確かさがうかがわれます。

(2) 本殿北側面 丸桁に施された龍の彫刻
丸木を寝かして配置しているので、そこに彫られた彫刻は、見る高さによって見え方が全く違ってきます。(1)とは異なる箇所に施された龍の彫刻についてご紹介します。
屋根と同じ高さから撮った写真がこれ。

両目、両ひげが見え、口を大きく開けた様子です。
同じ個所を下から撮影すると、

左目のみが見える横顔の姿となります。目の下の口元に牙が二本ほど見えます。そして、あごひげだった部分は、口から吐いた炎に見えます。そのように解釈すると、口をあえて二つ彫っていることになります。一つの部品を二つの意匠として表現しているとも言えます。見る高さによって表情が随分と異なるだけでなく、創意工夫に感心しました。これを見ていて、ピカソのキュビズムを思い浮かべてしまいました。
丸桁は、二次元以上三次元未満(二次元寄り)、しかも見る角度が限定されます。独特の表現技法が駆使されているのでは?他にも例があるのかと調べたくなりました。

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